野獣邸からの脱出 デカマクラのある部屋 GAME
それは暑い夏の日、水泳の部活帰りだった。田所先輩という、ずいぶん僕のことを可愛がってくれる先輩に誘われて、先輩の家に遊びに行くことになった。もちろん、同じ部活をやっている入学以来の親友、遠野も一緒だ。
水泳部の先輩である田所浩二は、とにかくタイムにこだわる選手として有名で、口癖は「タイムはどう?伸びた?伸びない?......」これを毎日のように連呼するものだから、少数の部員には「生真面目すぎるヤツ」とうざがられていたが、ほとんどの部員にとっては頼りにされ、慕われる存在であった。いわゆる「熱血リーダー」である。
ところで、僕にとって、部活帰りに人の家で遊ぶ行為自体、日常に潜む非日常という感じで、とにかく楽しみで堪らない。
家に向かう真っ直ぐな下北沢の通りは、熱気でゆらゆらと揺れている。
こ↑こ↓、違和感のあるイントネーションで家を指す先輩の左手が多少震えていることに、浮つく僕らは気づきもしなかった。
冷静になって考えるべきだった。
なぜ先輩は、わざわざ猛暑のあの日、部活終わりの汗だくにも関わらず、直に家に招いてくれたのか。
なぜ招待されたのが、遠野と僕の二人だけだったのか。
いつもと違う先輩の不自然さに、気づくことができなかったせいで、先輩も、親友の遠野も、あんなことになってしまった。。。
ープロローグー
昏睡。
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ファ!?ウーン…
寝て……いたのか?
頭がズキズキする。
……..
ここはどこだろう?
そうだ。確か先輩の家に遊びにきて….
それから屋上でアイスティーを飲んだ気がする
強烈な眠気に襲われて…….
「ちょっ何するんすか!やめて下さい!ほんとに!!!」
叫び声が聞こえた。
遠野!?あの甲高い声は多分あいつだ。
何かに怯えている。
このままだとヤバそうだ。
まずはここから出ないと。
脱出経路を探そう。
ーステージ1ー
デカマクラのある部屋。
ーステージ2ー
アイスティの香るキッチン。